「自由訳 十牛図」と信濃川の津波

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今日は「自由訳 十牛図」という本を元に。


著者は、「千の風になって」の作詞などで有名な新井満さん。


十牛図というのは仏教の中の、禅の古典のひとつです。内容は、アマゾンの書評
を。




さて、私は先日この本を読んだのですが、この本のあとがきの中に、私にとってはとても衝撃的な事実が書かれていました。


新井満さんは新潟市の出身で、昭和39年、高校生のときに新潟地震を地元で被災します。


信濃川河口の石油タンク群が爆発炎上し、火の海となります。


市内を通る昭和大橋は崩れ落ちました。


高校生だった新井さんはその様子を信濃川のほとりで見ていました。


現実とは思えない光景を目にした新井さんは、更に不思議な現象を目にします。


その現象とは、




日本一の大河、信濃川の水が干上がってなくなっていた




というものです。



と、そこへ、海のほうから水が逆流してきました!



・・・・・・



そのときの様子が書かれた文章を、この本のあとがき部分から抜粋して紹介させていただきます。



 1964(昭和39)年、6月16日、私のふるさとである新潟地方を大きな地震が襲った。そのとき私は新潟市内にいて、高校3年生であった。市内の道路はいたるところで隆起陥没し、大地の裂け目から地下水が噴水のように噴き出した。

 日本最長河川の信濃川にかかった昭和大橋は、落橋した。河口に広がる石油タンク群は次々に爆発炎上し、360時間燃え続けた。

 (中略)

 私が通学していた高校の校舎は、信濃川の岸辺に建つ鉄筋四階建であった。私は校舎の最上階にいて、あのマグニチュード7.7の地震にあった。地震直後、信濃川の河水が一瞬干上がり、そこへ日本海の方から海水が津波となって逆流してきた。火攻め水攻めの中を命からがら帰宅すると、我が家は泥水の中に沈んでいた。

 さながら映画の「天地創造」と阿鼻叫喚のパニック&ホラー映画と地獄絵図を、いっぺんに見せられたような思いであった。しかしそれは映画ではなく、まぎれもない現実であったのだ。




・・・・・・・・・



 地震による現実とは思えないような津波と火災の様子は、今回の東日本大震災によって我々も目の当たりにすることとなったわけですが、私にとって、このあとがきの文章が衝撃的だったのは、実は、私も「信濃川の水が干上がった」光景を見たことがあるからなのです。




1983年の5月に、日本海中部地震という地震がありました。秋田県ではそのときの津波で100人以上の犠牲者が出ました。


地震が起きたとき、私は新潟市内の某中学に通う中学1年生で、ちょうどお昼頃でした。


校舎からプールを見ると、プールの水が大きく「ザッパンザッパン!」と波打っていたのを今でもよく覚えています。


地震が起きたのは1983年の5月26日、木曜日でした。


そして次の日曜日、5月29日のこと。


クラスの仲間6、7人と自転車で、新潟市から寺泊までサイクリングに行くことになりました。


そして信濃川のほとりの八千代橋のたもとに来たとき、私たちは驚きべき光景を見ることとなりました。




そのときの様子を、私のHPのB型人間的新潟の投げ釣り:浦浜海水浴場に以前書いたことがあるので、転載します。



 シーサイドラインといえば・・・ということで思い出したことがあるのでここに書き記すことにする(別に浦浜には何の関係もないのだが・・・)。

 私は中学1年まで新潟市内に住んでいて、その中学1年のときにクラスの仲間6、7人で「サイクリングに行こうぜ!」ということになり、思い切ってシーサイドライン経由で寺泊まで行くことにした。中学は万代橋や万代シティに程近い中学だった。


 サイクリングに行ったのは、1983年5月29日(日)のことだ。なぜ覚えているかというと、その頃、日本海中部地震があったからだ。

 5月26日(木)のお昼頃に結構な揺れがあり、学校のプールの水が左右にザブンザブン!とはじけていた光景を今でもよく覚えている。サイクリングに行ったのはその週の週末だった。

 仲間らとH自転車店(仲間の家)に早朝集合し、走り始めた。そしてわりとすぐの、信濃川にかかる八千代橋を渡ろうとしたときのことだ。そこには驚愕の光景があった。


 なんと、あの日本一の大河、信濃川の水が、干上がって無くなっているではないか!記憶違いでも夢を見たのでもないはずだ。河口付近から上流の昭和大橋のほうまで、スッカラカンに水がなくなっていた。水のなくなった信濃川の川底には、大きな50cmくらいの鯉などがピチピチと跳ねていたのを私たちは確かに見た。その光景は、今もってまぶたの裏に焼きついている。

 と、ちょうどそこへ、河口側から水が津波のように押し戻されてくるところだった。水の高さは30センチ~50センチくらいで、案外静かな感じだった。

 河口から押し寄せてきた水は私たちの前を通り過ぎ、魚たちを飲み込みながら関屋分水方面へと流れていった。大自然のスペクタクルを見た思いがした。


 ただ、あのことを思い出すたびに不思議に思うのは、信濃川の上流からも水が流れてくるはずなのに、どうして一時的にもすっかり川の水がなくなってしまったのか?ということだ。地震の前に海の水が引くことがあると聞いたこともあるが、そのような現象の一環だったのだろうか。


 そんな不思議な光景を見たあと、仲間たちとシーサイドラインを走った。シーサイドラインは1990年7月に無料化されたため、1983年当時はまだ有料道路だったはずで、P1の駐車場近くに料金所の跡がある。このページを書きながらそんなことを思い出した。





以上が引用です。


引用文の中にも書いたように、長年私はあの光景を思い出すたび、(あれは夢だったのではないか?)と思い起こすことがたびたびありました。


なにせもう30年近く前のことで、確かに見たはずなんだけれども、記録映像があるわけでもなく、当時の仲間ともすでに連絡を取ることもできず、あのことが本当に現実だったのか、自分自身信じ切れなくなっていたのです。


しかし、今回この本を読んで、やはり地震に絡んでそういう現象が起こることがあって、あの私が見た光景もやっぱり夢ではなかったんだと再確認ができました。


今般起こった東日本大震災においても、岩手県の宮古市では、潮位が下がったあとに大津波がきたそうで、その速度は時速115kmに達したそうです。


普段水があるべきはずのところに水がなくなっていたり、異常に水位が下がったときは、津波の可能性があるので気をつけたほうがいいかもしれません。



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  自由訳 十牛図



B型人間の本棚


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コメント

342. 超自然現象

B・Yさん、こんにちは♪
真実は小説より奇なりでしょうか。
自然現象は想像を遥かに超えた何かが起こる。
うーん。
寒くなりました。(^^ゞ

超自然現象の目撃者だったんですね。(^^)/
  • 2011-04-09 17:12
  • クロちゃん
  • URL
  • 編集

343. 

へぇ~そんな事があったんですねぇ~
平成生まれの僕は全く記憶にございません(笑)
たしか高校生だった頃、単車でシーサイドを走った時は
まだ有料でした(爆)
  • 2011-04-09 18:24
  • 釣道楽
  • URL
  • 編集

344. Re: 超自然現象

クロちゃんこんばんは♪

そうですね、自然は忘れた頃に、人間の小ささを知らしめてくれることがありますね。

謙虚な気持ちで、海や山と向き合いたい気持ちになります。

345. Re: タイトルなし

釣道楽さん、平成生まれの人にはわからないでしょうねえ。

昔は1m越えの鯛やブリがイヤというほど釣れたのも、きっと知らないのでしょうねぇ(ウソっぽい遠い目)

346. 万代橋~昭和大橋・・・

昭和大橋、といえば昨年10月の新潟マラソン(スタート地点:
白山公園)で渡った覚えが。。スタート~約3kmの万代橋って
新潟地震(1964年)にも耐えた、とプレートに書かれてました。

昭和39年=東京五輪の年、ですけれど・・・中越地震のあった
2004年=アテネ五輪(野口みずき:金メダル)だったりするん
ですよねぇ@_@

347. Re: 万代橋~昭和大橋・・・

hirokazuさんこんばんは。昭和大橋、新潟マラソンのコースでしたか。そうなんです、昭和大橋は落ちたんですが、万代橋は落ちなかったんですよね。私が小学生の頃は、万代橋の下に「口さけ女」がいると、まことしやかに言われてたもんです。

2011年に大地震が起きてしまいましたが、2012年はまたすごいのが来るんですかねえ。勘弁してもらいたいです。

356. <続> 大震災当日の横浜港周辺・・

私は当日、都内某所で”帰宅難民”と化して自身の肉眼では
拝めなかったケド。。ラジオで聴いた話題なのですが
  3/11大震災の直後、横浜港内や流入河川では一瞬、
  河底が見える程の異常な引き潮となっていた。
    <山下公園の氷川丸も一瞬、座礁状態!?>
なんてのを耳にシマシタ。

※2002年に「アゴヒゲアザラシのTちゃん」でNEWSネタに
※なった辺りですが・・・信濃川と同様の現象なんでしょか

357. Re: <続> 大震災当日の横浜港周辺・・

hirokazuさん、そうでしたか!やっぱりどこかで大津波が起こるということは、離れたところの水も引っぱられているということなのかもしれませんね。しかし、座礁中の氷川丸、見てみたかったです(笑)

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