2021-01-27 05:10:00
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今日は東浩紀著「ゲンロン戦記」ついて。
著者は東大卒で哲学が専門でドクターまでなった、キャリアとしては文句のつけようのないインテリ
早稲田大学で教授として教え、
論壇で評価されて朝日新聞で論壇時評を担当し、
初めて書いた小説「クォンタム・ファミリーズ」は三島由紀夫賞、
という文句なしに社会のメインストリームを歩む人生であった
そして彼には思想・哲学を語りあえる場のようなものを作りたいという想いがあり、それを目指して会社を立ち上げる
ところが、会社は経営的には波がありながらもなんとか回っていたが、設立から実務面で何度も問題が起こる。5年の間に、3人の経理担当に裏切られることになるのだ
1人目は会社の経費の使い込み
2人目はアイデア豊富な人物であったものの放漫経営で会社の金がなくなる
3人目は地味に仕事をこなしていたものの、「もう限界だ」と言って、溜まった仕事を放り出してある日突然辞めてしまう
もう他人には頼れない。
「2014年6月6日 550円 文具」
などと、1件ずつエクセルに自分で打ち込んでいくのである
ことここに至って彼はようやく気づく
「人間やはり地道に生きねばならん」と。会社経営とは何かと。最後の最後にやらなければいけないのは領収書の打ち込みではないかと
自分はまともな社会経験を経ないまま若くして有名になってしまった。だから偉そうな態度で社会に向き合っていた。その限界を3人の経理の裏切り行為によってついに気づかされた。当時43歳、恥ずかしい限りだったと
彼は会社設立から出版、旅行ツアー、スクール、動画配信などなど様々な事業を立ち上げるが、彼がそうした事業を行って行く中で(これこそが大事なことなんだ)と気づいたのが「誤配」ということ
誤配とは、本来の目的とは違うんだけれども、人が様々なコミュニケーションを行う中で、思いもよらなかった成果物が生まれるようなことなんだろうと、私は理解した
誤配は人が密にコミュニケーションを図る中でこそ生まれる。だから今のコロナの状況ではなかなか難しいものがあると彼は憂えている
哲学者・批評家というキャリアを背景としながらも、泥臭く不器用に失敗しながら経営者として奮闘してきた10年間を自叙伝的に描く。素敵な人だなぁと思った
私と同年の生まれの方。自分の年くらいになるとすごい経験をしてる人がいるもんだなぁと、己の平凡な越し方を思い返して遠い目になる
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